ディスプレイのEMC対策は「吸収」だけではない
~透明シールド・金属フレーム・Ground Pathまで考える表示モジュール設計~
LCDやタッチパネルを装置に組み込んだ際、表示そのものには問題がなくても、EMC評価で課題が発生することがあります。このような場合、原因をLCD単体に求めたり、EMI吸収材を追加したりするだけでは、十分な対策にならないことがあります。表示部のEMC対策では、ノイズをどこで遮蔽し、どのように金属フレームや筐体へ接続し、安定したGround Pathを確保するかという視点が重要です。
表示面そのものがノイズ経路になることもある

産業機器やHMIでは、表示部に大きな開口部が必要です。金属筐体で囲まれた装置でも、ディスプレイ部分だけは構造上、大きな「窓」になります。そのため、LCD、Touch Panel、FPC、Controller Boardなどから発生するノイズが、表示開口部を通じて外部へ放射されたり、逆に外部ノイズの影響を受けたりする可能性があります。
こうした課題に対しては、用途に応じて透明電磁シールドフィルムやMetal Meshなどを表示面に配置し、視認性を確保しながら導電性を持たせる方法があります。透明シールド材料には、PET基材上に銅の微細Meshを形成し、透光性と電磁シールド性能を両立させるタイプもあります。
重要なのは「シールドした後、どこへつなぐか」

透明シールド層を配置しても、それだけでEMC対策が完結するとは限りません。重要なのは、シールド層から金属フレーム、さらに筐体側へ、連続した低インピーダンスの導電経路を形成することです。
例えば、表示部周辺に導電性銅箔や導電性粘着材を使用し、LCDの金属フレームと電気的に接続する構成があります。表示側のシールド層、金属Frame、筐体Groundを適切につなぐことで、シールド電流の安定した帰路を確保する考え方です。
Ground は「つながっている」だけでは十分ではない(Shielding → Bonding → Grounding)

EMC対策では、電気的につながっているかどうかだけでなく、接触抵抗、接触面積、配線長、接続位置なども重要になります。高周波領域では、細く長いGround線では期待した効果が得られない場合もあります。
·シールド層と金属Frameの接続
·導電テープや導電性粘着材の配置
·金属部品同士の接触面積
·FPC・Cableの引き回し
·Ground Pointの位置
·筐体側との接続状態
これらを個別に見るのではなく、表示モジュール全体として確認することが重要です。
EMI吸収材は「選択肢の一つ」
EMI吸収材、磁性シート、Ferriteなどが有効なケースもあります。ただし、それらは数ある対策手段の一つです。ノイズの発生源、周波数、伝達経路、筐体構造によって、必要な対策は異なります。
表示面の開口部が主な課題であればShieldingが重要になり、Ground経路に問題があればBondingや接続構造の見直しが必要になります。したがって、EMC対策では「何を貼るか」よりも、「ノイズがどこから発生し、どこを通り、どこへ戻るのか」を整理することが重要です。
UNIDISPLAYの提案
UNIDISPLAYでは、LCD、Touch Panel、Cover Glass、FPC・Cable、A/D Board、金属Frame、筐体構造などを含め、表示システム全体を確認しながらEMI/EMC課題への対応を検討します。
·透明電磁シールドフィルム
·Metal Mesh
·導電性テープ
·導電性粘着材
·金属FrameとのBonding
·Ground Path
·Cable Layout
重要なのは、特定の材料を追加すれば必ずEMCをクリアできるという考え方ではありません。表示面から金属Frame、筐体まで、電気・材料・構造を一つのシステムとして考え、実機評価を通じて最適化することが重要です。
FA機器、産業用HMI、医療機器、車載・建機、決済端末、業務用プリンターなど、表示モジュールのEMI/EMC対策や構造検討について、お気軽にご相談ください。
※EMI/EMC性能は、最終装置の構成、使用環境、評価規格・条件などによって異なります。実際の対策内容は、個別条件を確認し、実機評価を行いながら検討します。